保育園の定員割れを防ぐための戦略と成功事例
社会問題となっている待機児童の解消や子育て支援を目的とした、「待機児童解消加速化プラン」(2013年度)、「新子育て支援プラン」(2021年度)が策定されました。
その後2025年2月時点では、待機児童問題は減少したとされている一方、新たに「保育園の定員割れ」が問題となってきています。
今回はその「保育園の定員割れ」について紹介します。
目 次


保育園における定員割れの現状と影響
初めに、保育園における定員割れの現状、また定員割れが保育園に与える影響について見ていきます。
定員割れとなる主な要因としては複数ありますが、大きく「外部要因」と「内部要因」に分けられます。
外部要因としては主に、「保育の受け皿拡大」、「出生数の低下に伴う就学前人口の減少」、「保育士不足による園児受け入れの制限」などです。
内部要因としては「保育園のPR不足」、「利用対象者の制限が多い」、「利用者、保育者、地域含め、保育園の評価や満足度が低い」ということが挙げられます。
外部要因を各保育園で見直すのは限界もありますが、内部要因についてはしっかりと分析し、一つ一つ改善していくことが大事です。
定員割れが保育園に与える影響
保育園としては、収入面での影響が非常に大きいです。
収入減になると当然ながら、施設設備や優秀な保育士の雇用継続・新規採用にも悪影響を及ぼしてしまい、安心安全な保育園運営が難しくなってしまいます。
地域からの信用を失い、保育園としての存在意義そのものが疑問視されてしまいます。
定員割れの原因と分析
外部要因の分析
定員割れの外部要因としては、「保育の受け皿拡大」「出生数の低下に伴う就学前人口の減少」「保育士不足による園児受け入れの制限」等が挙げられます。
保育園数は増加している一方、出生数と定員充足率は年々減少傾向にあります。注1)
■保育所等の利用定員・利用児童数等の状況
保育施設数 利用定員数 利用児童数 定員充足率 出生数
2021年 38,666か所 3,016,918 2,742,071 90.9% 811,622人
2022年 39,244か所 3,044,399 2,729,899 89.7% 770,759人
2023年 39,589か所 3,050,928 2,717,335 89.1% 727,277人
2024年 39,805か所 3,044,678 2,705,058 88.8% 685,000人
このことから、「待機児童解消加速化プラン」、「新子育て支援プラン」の施策により、預けられる保育園が格段に増えた一方、少子化により利用者が減少傾向にある、ということがわかります。
また他方で、保育士有効求人倍率がここ数年間は3倍~4倍弱程度の状態が続いてしまっていることから、保育士不足により園児を受け入れたくてもそれが叶わないという保育園も存在しています。
注1)参考文献 こどもまんなか こども家庭庁
保育所等関連状況取りまとめ(令和5年4月1日)
保育所等関連状況取りまとめ(令和6年4月1日)
内部要因の分析
定員割れの内部要因としては、「保育園のPR不足」、「利用対象者の制限が多い」、「利用者、保育者、地域含め、保育園の評価や満足度が低い」が挙げられます。
まず「保育園のPR不足」については、「良い保育園なのに地域の方々に知られていない、認知度が極端に低い」、「一度、見に来てもらうことさえできれば、利用につながる可能性が高い」という状態です。
ですので、まずは「保育園を知ってもらうこと」を目指し、PR施策を行っていきましょう。
ご参考までに、園のPR方法や園児増加につながる取り組みの一例を、後ほどご紹介します。
「利用者の制限が多い」については、特に病院内や企業内の保育園になりますが、保育園を利用できる対象者を「医師・看護師のお子さまのみ」、「保護者の勤務時間中のみ」、「園児年齢〇歳まで」など、制限が多いために利用者の幅を狭めてしまっているということです。
利用対象者を拡大させたり、リフレッシュ利用(保護者の勤務時間外の利用)を認めたりすることで、潜在的なニーズのある利用者獲得につながるかも知れないので、検討してみましょう。
問題なのは、「利用者、保育者、地域含めた、保育園の評価や満足度が低い」についてです。
こちらは何か1つのことだけがきっかけということでは無く、複数の要因が重なり合って悪循環をもたらし、評価や満足度が低い状態が続いてしまっていることもあるようなので、目を逸らさずに向き合って改善していく必要があります。
定員割れを防ぐための戦略
マーケティングとプロモーション
保育園の概要や活動内容を、少しでも多くの方に認知していただく方法として、園児募集のチラシやポスターの作成、ブログやホームページの制作(更新)、SNSの運用、地域向けのイベントの開催等があります。
チラシやポスターについては、近隣の商業施設や役所、ハローワーク等、子育て世代の人の目につく場所に設置させてもらいます。
ホームページやブログ、SNSは、制作・運用されている保育園も多いですが、更新頻度が低く情報が数年前と変わらないという園も散見されるので非常にもったいないですね。
地域向けのイベントについても、在園中の子どもたちや先生たちと積極的に交流を図ることによって、その保育園のファンを増やすことにもつながります。英会話や運動、芸術的な活動など、特別な保育や取り組みを行っているのであれば、お試しで体験を行うこともできるので効果的です。
保育サービスの改善
保育サービスについては、保育者のモチベーションにも影響し、それがひいては利用者の満足度にもつながってきます。業務量や保育者ごとの役割分担、配置等、保育者の意見に耳を傾け、寄り添いながら継続的なフォローが大事になってきます。
同様に保護者に対しても、普段の送り迎えの際のコミュニケーションや、保護者参加型の定期的なイベント、またアンケート調査等も効果があるのでおすすめです。
成功事例の紹介
最後に、内部要因の一つ「PR不足」に対する施策として、キッズコーポレーションで企画、実施した「自園、および地域のお子さまも対象にした夏祭り」についてご紹介いたします。
保護者様からもご好評をいただき、クライアントからも高評価をいただくことができました。
どちらの事例も、企業主導型保育事業の保育園での開催です。
【保育園(1)】
・開催日時 2023年8月19日(土) 9:00~12:00
・実施内容 もこもこアニマル、ヨーヨー、輪投げ、フォトフレーム、野菜・果物もぎもぎ、軽食コーナーなど
・運営形態 企業主導型保育事業
・園児定員 19名
・新規入園数 合計2名(月極)
【保育園(2)】
・開催日時 2023年8月26日(土) 10:00~12:00
・実施内容 ツムツムビンゴ、くじ引き、おめん、うちわ、フォトスポット、ベテラン保育士による子育て相談、軽食コーナーなどなど
・運営形態 企業主導型保育事業
・園児定員 19名
・新規入園数 合計3名(月極)
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