事故防止と安全管理から見る保育園運営の挑戦、安全対策の設計を徹底解説
2024/07/23 #開園後の業務

事故防止と安全管理から見る保育園運営の挑戦、安全対策の設計を徹底解説

保育園での深刻な事故は、「食う、寝る、水遊び」の時に起こりやすいと言われています。事故防止の観点から設計時に気をつけるべきポイントをご紹介します。

  • copy
  • LINE
  • X
  • Facebook
サービスサイトバナー サービスサイトバナー

保育園運営における事故防止と安全管理の挑戦

 保育園での深刻な事故は、「食う、寝る、水遊び」の時に起こりやすいと言われています。
「食う」は、給食の時間です。誤食による食物アレルギーの事故、食物等がのどに詰まる窒息事故などです。
「寝る」は、睡眠時です。お昼寝の間に突然児童が死亡してしまう乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)が発症する可能性があります。
「水遊び」は、夏のプールや水遊びの時間です。転倒や溺れることで深刻な事故になる可能性があります。小さな子どもは、わずか数センチの水深でも溺れてしまいます。
こうした事故を防ぐには、保育園職員の高い安全意識、日々の取り組み、事故防止のための手順化や仕組み化(マニュアル化、チェックリストの運用等)が欠かせません。この取り組みは保育園を運営している限り終わりがなく、常に学習し、常にセルフチェックを行い、常に高い意識を保ち続けていく必要があります。
上記のような深刻な事故は職員の日々の取り組みでしか防ぐことはできませんが、事前に保育園でよく起こる事故を想定し、事故が起こりにくい設計とすることで、事故のリスクを軽減することは十分可能です。
ここでは、事故防止の観点から設計時に気をつけるべきポイントをご紹介します。

事故がもたらすリスクと安全管理の重要性

 保育園の最も大切な役割は、当然ながら子どもの安全管理、衛生管理です。ケガや病気、感染を防ぐことです。
どんなに素晴らしい保育、教育を提供し、どんなに美味しい給食を提供していても、一つの事故、一つの食中毒等のまん延で、その高い評判は一気に消し去ってしまいます。
保育園が安全管理や衛生管理を怠ったことにより事故が起こってしまった場合には、保護者、行政、マスコミから責任を追及され、事故によっては多額の賠償金が発生し、保育園名や設置者名(設置法人名)が公表されてしまいます。一度そうした事故を起こしてしまうと、地域での評判は地に落ち、児童は集まらず、保育園を閉鎖しなければならなくなるかもしれません。
子どもを守る、保育園職員を守る、設置者として保育園の役割を全うするためにも、安全管理、衛生管理は欠かせません。

【事故が起こりやすい場所別】安全管理に配慮した設計

 小さな子どもの事故は、大人では想像もできない場面で起こります。わずかな段差につまづき、ちょっとした角に頭をぶつけ、手にしたものはすべて口に入れ、ドアに指や手を挟んでしまい、勝手に鍵を開けて外に飛び出してしまいます。
こうした事故が起きないように、保育園職員が見守ることができるように、予め子どもの動きを想定した安全対策を設計に織り込んでおきましょう。

■死角をなくす
保育室の安全対策の基本は、死角を作らないことです。正方形、長方形のシンプルな形としましょう。曲がり角がある、棚などの凹凸がある死角の多い保育室は危険です。保育士の目が届かず、事故が起こっていても気がつかないことがあります。

■段差をなくす
なるべく段差を少なくし、子どもの転倒を防ぎましょう。ちょっとした段差でも子ど
もはつまづいてしまいます。特に保育室内、廊下では段差のない設計としましょう。

■角を丸くする、緩衝材を貼る
棚、机、椅子などの尖った角は、子どもがぶつかりケガを負うことがあります。尖った角はヤスリ等で丸くする、緩衝材を貼るなどして、事故の防止に努めてください。

■危険なものには手が届かない、入れない設計に
職員が使用する文房具等は、子どもの手が届かない場所(高さ120cm以上の棚上等)に置きましょう。消毒液、洗剤、洗濯機、掃除用具など、子どもが触ったり、口に入れたりすると危険なものは、鍵付の収納に入れたり、絶対に子どもが立ち入らない部屋に設置しましょう。

■コンセントは感電防止策を
保育室、廊下、玄関など子どもが立ち入る場所にあるコンセントは、コンセントカバーをつける、感電防止シャッター付きコンセントとする等、すべてに感電防止策を施しましょう。

■すべてのドア、扉には指ばさみ、手ばさみ防止を
引き戸の戸当たり部分にクッション材を設置して衝撃を和らげる、ドアの蝶番側のすき間を埋めるなど、保育園の玄関、保育室の出入口、収納の扉すべてに指ばさみ、手ばさみ防止策を施しましょう。

■すべてのドア、扉の鍵は、児童の手が届かない位置に
保育園の重大事故として、子どもの飛び出しや、いつの間にか子どもが外に出ていることがあります。これは、保育室や玄関ドア、窓の鍵が子どもの手の届く位置にあるため、子どもが鍵を勝手に開けてしまうことで起こります。
設計段階から、鍵は子どもの手の届かない箇所(高さ150cm以上)に設置しましょう。鍵の場所を変えることができないサッシ窓の場合は、サッシ引き戸用の補助錠を設置しましょう。

【食事・衛生事故別】衛生管理に配慮した設計

 子どもが口に入れる給食、おやつの衛生、病気の園児への配慮が、保育園の衛生管理ではとても大切になります。給食やおやつの取扱いが不衛生だと食中毒のリスクが高まり、病気の児童とほかの児童が交わった際に園内感染を起こす可能性があります。

■給食に関する衛生管理
食材、給食が汚染されない設計が重要です。
食材の搬入口は玄関と別に設け、搬入口からすぐに厨房に運べる搬入経路とすること。厨房と園児用のトイレは離れた場所に設置すること。調理員の感染を防ぐために、調理員用トイレは保育士とは別に設けること、などがあります。

■病児保育に関する衛生管理
病児保育を行う場合には、通常の保育園の園児と病児保育の園児とは、保育室はもちろん、玄関、廊下、トイレ等すべて別にしましょう。
病児保育は感染している園児をお預かりすることになるため、病児が立ち入る場所はすべて汚染されていると想定し、通常の保育園の園児とは交わらない動線としましょう。

保育士従業員の教育も大事

設計段階で、上記のポイントを押さえた安全管理策、衛生管理策を施すとともに、保育園職員への事故防止の意識を高める教育、事故を防ぐ仕組みにより、事故の起こらない安全な保育園を作りましょう。

保育園イメージイラスト 保育園イメージイラスト

保育園の運営方法についてもっと知りたい方へ

\ この記事をシェアする /

  • copy
  • LINE
  • X
  • Facebook
保育園コンサル無料キャンペーン実施中 保育園コンサル無料キャンペーン実施中
TOPへ戻る
ローディング画像